小林さんちのメイドラゴン第7話感想
カンナちゃんの足、すごいっすね・・・。
おじゃる丸だよなぁ・・・。
海の回で、トールが考えるシーンがあるんですけど、
トール「人間としては普通の小林さんが、ドラゴンを受け入れられる。」
トール「この世界の人間は誰でも、ドラゴンを受け入れられるということ?」
これ、すごい引っかかるんですよ。
「小林さんだからこそ、私を受け入れられた!小林さんステキ!出会いに感謝!」
っていうなら、よくあるアニメなんですけど。
逆に、別に小林さんじゃなくてもよかった、って言ってるんですから。
なんでこんなセリフいれたのかなーって考えてみます。
トールを家に引き入れる小林さんは、懐が深すぎるとは常識的には思います。でも、ここではあえてそう考えずに、トールの言葉に乗っかって、こっちの世界の人間は誰でもドラゴンを受け入れられると考えてみます。つまり、小林さんは特殊な人間ではないと考えます。ドラゴンを受け入れることに必要なのは個人の特殊な資質というわけではないと考えます。
こっちの世界なら誰でもドラゴンを受け入れられるとしたら、両者の世界の違いはなんでしょう?こっちの世界にあって、あっちの世界にないものとは、なんでしょう?
それはルールだと思います。
今回の話、しれっと「リヴァイアサン」なんてワードが出て来るんですが、
これ、ホッブズの社会契約論「リヴァイアサン」のことを意識しているように感じるんですよ。
リヴァイアサンについてざっくりと言えば、
人間たちが各々自己の利益を追求した場合、その結果起こるのは、万人の万人に対する闘争状態です。この殺伐とした状態では、誰も安心した生活を送ることができません。
しかし、人間には理性があるので、平和のためのルール(自然法)をつくり、それに従うことができます。その考えにもとづいてできたのが国家だ、という話です。
トールたちのいた世界は、これまでの話から、弱肉強食、力あるものが全てを制する、殺伐とした世界です。ルール無用のバーリトゥードな世界なんでしょう。
これはホッブズが言うところの、万人の万人に対する闘争状態、を地で行く世界です。
この世界では安心した生活を送ることは難しいでしょう。
それに対して、人間の世界は、トールが窮屈と感じているように、細かいルールがいっぱいあります。しかし、このルールによって争いを最小限に抑えることができます。
みんながルールを守ってちょっとずつ我慢することによって、みんなで幸せになろうという考えのもとにできたのがルールなんです。
このルールがホッブズの言うところの自然法です。
小林さんちのメイドラゴンの話に戻します。
なぜ、トールは人間社会に受け入れられているか。
それは、ドラゴンといえども、人間社会でルールを守っているから。
これが、自分の考えです。
ルールがなぜそんなにも重要なのか、ということを語る上で、今回のコミケという舞台は適切です。
コミケの参加者たちは、ルールを守ります。
走らず、きれいに列をつくり、統率のとれた行動をとり、トールを驚かせてもいます。
あれだけの人口密度で個人個人が好き勝手に行動したら、衝突と渋滞が起こるでしょう。
みんながちょっとずつ我慢してルールを守ることで、みんなが幸せを享受できる。
そういう主張なんだと、自分は考えています。
(最近、小林さんがルール守れ!って言うネタが多すぎて、食傷気味なんですよね。こういう意味で繰り返してんじゃないかな、と思ったわけなんです。)
今を生きろ!
なぜ、コミケの参加者はルールを守るのか。
欲望を抑えつけて彼らをそこまでの行動に駆り立てるものとは何か。
カメコのお兄さんが良いこと言いますね。
「今、この瞬間、この場所にしかないものためです。」と
海の回の、小林さんの言葉の繰り返しですよね。
「トールのいた世界とは、世界が違う。分かり合うことの難しい。
でも、だからこそ、今一緒にいることを大事にしたいって、思えるのかも。」
この話を見ると、EDの歌詞にも深みが出てきていいですね。
過去も、未来も、どうだっていい
ここにいることが大好き
小林さんちのメイドラゴンは、出て来るドラゴンは訳ありな奴らばっかりです。過去にいろいろあったかもしんないけど、今の幸せを感じて、全力で生きろ!ってメッセージが良いなって思いますね。
話が脱線しますけど、個人的にこのメッセージでは、銀と金88話を思い出します。
金持ちのカムイ家の兄弟は、「頭のでき」によって差別され、長男~三男は優遇、四男~五男はぞんざいな扱いを受けます。そのために、親と長男~三男に復讐し、最終的に命を落とすという話です。
主人公森田の「過去は過去だ、先を見ろ」という言葉は、すごく合理的で、メイドラゴンの話にも通じます。しかし金と銀では、その言葉を受けても過去に固執しないではいられなかった五男の姿に悲しさがあるのですが・・・。
話をメイドラゴンに戻して。
そして、この幸せな今、を支えているのがルールというもので。
今のところそのルールを、窮屈なネガティブなものとしか、トールがとらえてないという構造が面白いと思うんです。
こう見るとメイドラゴンは、ある種のトールの成長物語なんでしょう。