タモリについて10分で書く
タモリ倶楽部が好きだ。もう、かれこれ8年ぐらい毎週欠かさず見ている。
というか、テレビで唯一見ているのがこれだけだ。
それ以外はもう、テレビは見なくなってしまった。
ニッチな内容を扱うという切り口が面白いし、空耳アワーは毎回安定して笑える。
そして、見てて疲れないのが良いところだと思う。
出演者の、世間を気遣ったような言説、小綺麗な言葉みたいなものもほとんど出てこない。
リラックスしてやっている雰囲気が好きだ。
鉄道会だけは、興味湧かないから楽しめないけれども。
タモリといえば、何年か前に終わった、笑っていいとも!が代名詞だった。
タモリに聞くところによると、長寿番組の秘訣は、やる気を出さない、反省しないだそうだ。
ルーティンと化したものは続くということかな。
応用できるんだか、できないんだか、困る内容である。
この本で気になったのが、いいとも!の毒という話だ。
いいとも!の毒
K.K. というアーティストは語る。
「なんというか、「笑っていいとも!」は、テレビというメディアがもってる退廃的な部分を集積しているような、瞬時に相手の思考を停止させるような信号を含んでいる感じ」
いいとも!に構成作家として参加した漫画家のタナカカツキは、ある企画の提案をして、ディレクターから
「お昼にしては刺激が強すぎる」
と言われたことがあるらしい。
「いいとも!は、昼食を食べながら見る番組なので、あまり企画が面白いと視聴者の箸が止まってしまう。だから、途中から見ても何をやっているのかわかるような単純明快なものがいい。」というのだ。
なるほどである。いいとも!は、じっくり見るようにつくられてはいない。
瞬時に相手の思考を停止させるような信号とは、そんな番組作りに由来するものといてよう。
こんなところが面白かった。
「なんて言ったらいいかわからないんだけれども~」に注目しよう
話がちょっと変わるけれども、こんなことを思った。
ここで、K.K.さんは、「なんというか~、~な感じ」
という、すごく自分の中でも、言語化が難しいような感触を、なんとか言語化しようと頑張っている。
そして、作者は、他のエピソードを加えて補足する形で、この人の言わんとしていることを分かりやすいものにしている。
ここから自分が感じるのは、
本当に新規性のある話というのは、いつもフワフワしているものだ。
ということである。
「なんと言ったらいいか分からないんだけど、こんな感じなんだよ!」みたいな
聞き取りづらく、解釈しづらく、よくわからない話というのにこそ、未だに誰も気づいていなかったような新規性が、世界の新たな真実が宿っているんだと思う。
逆に言えば、はっきりと言語化されて、明言されるような話は、すでに古くて、新規性はないということだと思う。
はっきりと言い切る形で言葉にされているものというのは、断言調でテレビ受けはいいけれども、面白くない話が多い気がする。