進化しすぎた脳
進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (ブルーバックス)
- 作者: 池谷裕二
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/01/19
- メディア: 新書
- 購入: 49人 クリック: 230回
- この商品を含むブログ (259件) を見る
特に面白かったところ
脳は十分に使い切られていない
脳は機能が局在化している。例えば、脳には5本の指それぞれに対応する部分が存在する。
そして、脳の地図はダイナミックに変化できる。例えば、指が4本しかない人の脳には、4本に対応する神経しか形成されない。
つまり、脳の地図は後天的なもので、脳が決めているのではなく体が決めている。
逆に言えば、体が脳の進化にとってのボトルネックになっている。もし、指が6本になれば、それに合わせて脳は6本分の神経を形成する。もし、カイリキーみたいに腕が4本あれば、脳も腕4本分の神経を形成するということみたい。めっちゃすごい。
哺乳類の脳には6層構造になっているという共通点があり、これが脳に変化に適応する柔軟性をもたらしているようだ。
人間の記憶はなぜあいまいなのか。なぜなかなか覚えられないのか。
記憶のあいまいさについて。これは逆に、あいまいさと学習の遅さが大事なんだそうだ。
正確無比な記憶というのは、応用できないゆえに役に立たない。
例えば、人間の同一性の認識。Aさんという人を覚えようとしたときに正確すぎる記憶では、顔の角度、髪型、服装、時間経過による老化など、何かがちょっと違うだけで別人として扱われてしまう。
そこで人間は学習の速度を落とし、物事をあいまいに記憶し、不変の共通項を無意識に抽出する。これによって応用が効くようになる。この事象の一般化を「汎化」というそうだ。
そして、下等な動物ほど記憶が正確で、融通が効かないらしい。
池谷センセの本は分かりやすいし、面白い。